西三数学サークル通信138号-2
青柳(あおやぎ)碧人(あいと)with瀬山士郎
「数学エンターテイメントへの招待・・・MFの世界」を聴く ・・・広田
2月23日(日)、遠く千葉県松戸南高校で行われた関東地区 数教協の集会へこのトークショーが聴きたくて行ってきました。 司会の瀬山さんは数学者にしてSFではないMF小説「数学者 シャーロックホームズの冒険」(日本評論社1996年)を著わし ています。(現在は「バナッハ・タルスキの密室」と増補改定) 相手の青柳さんは千葉県在住で2009年数学ミステリー「浜 村渚の計算ノート」でデビュー。この作品は、中2の数学好き の少女が、学校から突然数学が必修科目でなくなった世界 で、数学テロ組織「悪の三角定規」がひきおこす数々の事件 を解決していくというバーチャルミステリー(でも数学教師に は随所にリアリティを感じます)で、現在まで講談社文庫から シリーズ5巻が刊行され累計45万部発行だそうです。(もうす ぐ続巻も出るそうです) 青柳さんはもと塾の講師で「数学嫌いの生徒たちになぜ 数学が役に立つのか?と尋ねられて、それに答えるために は数学で事件を解決できる小説を書けたら」と考え、さらに 「自分も中学までは数学が得意だったが高校ではまったく だめになった経験がある、でも数学はおもしろいと思う」そ んなおもしろさを表現できたらと書いたそうです。 どんな風に数学が登場するか、ネタばれしないように各 巻の目次から紹介します。 各章はlog10. log100. log1000. ・・・と続き、節の番号は √1 、√4 、√9 ・・と続いていくのはいいのですが、中には 1, 1,2,3,5 となったり、50 , 41/2 , 31, 22, 5となります。面 食らう人もでると思いますが、でもどうしてその表現を使っ たかは、ちゃんとその章のストーリィの中に理由が書かれ ています。 私がおもしろかったのは、2冊目のlog1000.「割りきれな かった男」の話。剰余類が小道具となり、7の倍数が随所 にあそびで登場します。7、14、21、28、35、42、49、56、 63、・・・と出てくるのですが、最後に著者がどこで使われ たか解説しています。(すばらしいオチもあります) でも実はその解説以上にもっと思いがけない7の倍数 が登場しているのを発見して楽しい気分になりました。 (「数学教室2013.12月号『倍数の判定法』」が役に立ち ますよ) |
![]() 左:青柳氏 右:瀬山氏 ![]() ↑サインをもらいました。 |
絶対値の付いた不等式・・・・・伊藤